前回は、信頼を勝ち取るための「演技力」についてお話ししました。
相手が電話を切らずに、話を聞いてくれている。
さあ、ここからが本当の勝負です。
多くの初心者が、最後の最後でやってしまう「ある致命的なミス」があります。
それは、「お伺いしてもいいですか?」と許可を求めてしまうことです。
私が激戦区で全国トップ3を取れたのは、この言葉を封印し、代わりに「相手が断れない(選びたくなる)聞き方」を徹底したからです。
今回は、アポを確定させるための「悪魔的クロージング術」と、会話の主導権を握る「切り返し」について解説します。
1. 「お伺いしてもいいですか?」は禁止ワード
「サービスのご説明に、一度お伺いしてもよろしいでしょうか?」
丁寧に聞こえますが、テレアポにおいてこれは「断ってください」と言っているのと同じです。
なぜなら、人間に「Yes / No」で質問すると、心理的に「No(断る)」の方が楽なので、反射的に断りたくなるからです。
許可を求めるな、「日時」を決め打ちしろ
トップアポインターは、許可を求めません。「日時」を提案します。
- × ダメな例
- 「ご説明に伺ってもいいですか?」
- 〇 プロの例
- 「ちょうど〇日の〇時ごろ、そちらの近くを回る予定があるのですが、ご都合はいかがですか?」
これが最強のテクニック、「二者択一(または日時の決め打ち)」です。
- 「近くに行くついで」という理由付け:
「わざわざ来る」のではなく「ついでに来る」なら、相手の心理的ハードルが下がります。 - 思考のすり替え:
「会うか・会わないか」ではなく、「その時間が空いているか・空いていないか」に思考を強制的に誘導します。
2. 「脈あり」か「脈なし」かは、この一言で分かる
この「日時の決め打ち」は、最強の「見込み客フィルター」としても機能します。
もし、提案した日時がダメだった場合、相手の反応をよく見てください。
- パターンA(脈あり):
「あー、その時間は会議が入ってるんだよね」
→ 「では、〇日の〇時はいかがですか?」と別日を提案すれば、決まる確率は高い。 - パターンB(脈なし):
「いや、忙しいから無理(日時に関係なく拒絶)」
→ ここで粘っても無駄。さっさと引く。
「時間の都合」を理由に断る人は、興味はあるのです。
逆に、日時を変えても断る人は、そもそも会う気がない人です。
このテストをすることで、無理な相手に粘って時間を浪費することを防げます。
3. 質問には「御託」を並べず「結論」+「提案」で返せ
会話中、相手から質問が飛んでくることがあります。
特に多いのが「で、安くなるの?」という質問です。
ここで初心者は焦って、「あ、費用につきましては、今のプランが〇〇で、こちらのプランだと環境によっては……」と「御託(言い訳)」を並べてしまいます。
これが、相手をイラつかせます。
即答しつつ、リスクを回避する技術
とはいえ、「安くなります!」と言い切ってしまうのはNGです。もし訪問して高くなったらクレーム(嘘つき)になります。
大事なのは、「結論(傾向)」をスパッと言って、すぐに「アポ(提案)」に繋げることです。
相手: 「高いの?(安くなるの?)」
あなた: 「お客様の状況によりますが、お安くなるケースが多いです!それも含めて試算させていただきますので、〇日はいらっしゃいますか?」
- 結論: 「安くなるケースが多い(嘘ではない)」
- 提案: 「だから試算させてほしい(会う理由)」
- クロージング: 「〇日はどう?(日時指定)」
この3ステップを息をするように繋げてください。
「えーっと」と迷う隙を与えず、「安くなる可能性が高いなら、一度計算してもらうか」と思わせるのです。
4. 「名前」を聞き出すための鉄則
アポは取れそうだけど、相手の名前が分からない。
そんな時、「お名前頂戴できますか?」と聞いても、「なんで言わなきゃいけないんだ」と警戒されます。
名前を聞き出すには、順序があります。
「まずは自分から名乗る」。これが鉄則です。
「改めまして、私、〇〇会社の『田中』と申します。(一呼吸おいて)……失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
どこの誰か分からない人間に、自分の名前を教える人はいません。
自分から名乗り、仁義を切ることで、相手も「あ、どうも『佐藤』です」と答えざるを得なくなるのです。これを心理学で「返報性の原理」と呼びます。
5. 「ありがとうございます」は最強の防御壁
最後に、どんな時でも使える魔法の言葉を授けます。
それは「ありがとうございます」です。
アポが決まった時はもちろん、質問された時、反論された時、断られた時でさえも使います。
- 相手: 「うちは忙しいんだよ!」
- あなた: 「忙しい中、お電話に出ていただきありがとうございます!」
お礼を言われて、嫌な気分になる人間はいません。
「ありがとうございます」と言うだけで、相手の攻撃力(怒り)は半減します。
困ったらまず感謝。これを口癖にしてください。
まとめ:クロージングは「誘導」だ
今回の【切り返し・クロージング編】のポイントです。
- 「伺ってもいいですか?」は禁止。「〇日の〇時に近くに行く」と決め打ちする
- 「安くなる?」と聞かれたら、「安くなることが多いので、試算させて」とアポに繋げる
- 名前を聞くときは、まず自分から名乗る
- 何を言われても、まずは「ありがとうございます」で返す
これで、アポを取るための技術はすべて揃いました。
しかし、テレアポは長期戦。
ガチャ切りが続いたり、スランプに陥ったりして、心が折れそうになる日も必ず来ます。
最終回となる次回は、【メンタル防衛・効率化編】。
全国トップ3の私が実践していた、「心を殺さずに長く続けるための護身術」と、ゲーム感覚で楽しむための秘訣をお伝えします。
テレアポのクロージングに関するよくある質問
Q. 「近くに行く」と言って、嘘だとバレませんか?
A. 経営者などの決裁者は、それが「営業の方便(口実)」であることを理解した上で、それでも会う価値があるかを判断しています。嘘をつく罪悪感を持つ必要はありません。アポが取れたら本当にそこへ行くのですから、結果的に事実に変わります。
Q. 提案した日時がすべてダメだった場合はどうすればいいですか?
A. もう一度だけ、「では、来週の〇日はいかがですか?」と提案してみてください。それでもダメなら「脈なし」と判断して引きましょう。何度も粘ると嫌われますし、時間の無駄です。
Q. 怒鳴られても「ありがとうございます」と言うのが怖いです。
A. 怖い時こそ「ありがとうございます」です。これは相手のためではなく、自分の心を守るための言葉です。お礼を言われると、相手はそれ以上強く怒れなくなります。最強の護身術だと思って使ってみてください。


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